星祭の『星』とは?

星祭の『星』とは?

星空と月の写真

2019年が始まり、誰もが今年がよい年になりますようにと願います。昔から、人は空の星々の動きが天変地異や個人の運勢に関係していると考えてきました。若い女性に人気の西洋占星術はそれを発展させたものですが、日本の真言密教にも東洋のホロスコープといえる考え方があります。
「星祭」はまさに「星に願いを」こめておまつりし、災いを遠ざけ人の幸を祈る大切な宗教行事です。

空海が中国から持ち帰った「宿曜経」

星祭とは、すなわち厄除けを祈願する祭。真言宗や天台宗、日蓮宗の寺で行われます。

星祭の「星」は「運勢」を指し、星は運勢につながっているという考え方です。そもそも、平安初期に空海=弘法大師が中国(唐)から持ち帰った「宿曜経」(すくようきょう)というお経が考えの根本にあります。

『文殊師利菩薩及諸仙所説吉凶時日善悪宿曜経』が正式名で、インドから伝わった暦学と占星法の経です。これを見ると、人間は天上の星の運行によって運勢が決まると説かれている。空海はそれを読んで確信し、より体系化し理論化させて真言宗に持ち込んだのです。宿曜経は仏教の経典のようですが、そうではなく、大日経という密教の根本経典に含まれ、空海はこれを鎮護国家のために役立てました。

宿曜経は、九曜星、北斗七星、二十八宿、十二宮(十二直とも中段ともいう)、七曜(太陽・月・五星=月火水木金)の五つの星との関係が人の幸せを左右するとしています。二十八宿と十二宮は日々の吉凶を示す暦注として、ご存知の人も少なくないでしょう。

十二宮は 建(たつ)・除(のぞく)・満(みつ)・平(たいら)など十二あり、たとえば、建は、祭祀や婚礼、開店、移転、棟上げなど新たに開始することによい最吉日、という意となります。また、二十八宿の「宿」は、持って生まれた宿命の「宿」を表しています。

年齢に応じて九つの星が司る人の運勢

これらの星回りのバランスでその人の年回りがよいかわるいか、運勢を見定めますが、毎年の運勢は年齢に応じて九つの星が順番に司るとされています。この場合、年齢は必ず数え年で見ます。明治5年12月3日を「明治6年1月1日」と定めて以降今の太陽暦に改められましたが、宿曜経は旧暦に則った考え方だからです。

その九つの星は「九曜星」と呼ばれ、羅睺星、土曜星、水曜星、金曜星、日曜星、火曜星、計都星、月曜星、木曜星という順であります。その中で、羅睺星や計都星、火曜星がめぐる年が大凶や凶とされています。

けれども、今年大凶の人も来年には次の星がめぐり一年の後半からよくなります。こうして誰もが順に大凶や吉の年を経ていくわけです。とはいえ、「九曜星」の運勢がわるくても、あとの四つの星回りがよければ、この年の運勢はいいかもしれません。

でも、それはわからない。だから、天にすがって一心によくなるように拝みましょう、ということです。

平成31年の当たり星と運勢

「大厄」は、災厄が巡りやすい星回り

昔から特に慎重にすごすべき年と言われてきた「厄年」は、今でも気にする人は少なくないでしょう。「厄年」は九曜星の星回りで「大厄」とされる年齢を指し、それが男女ともに数えの61歳(昭和34年生まれ)。ほかに、いずれも数え年で男性は25歳、42歳、女性は19歳、33歳、37歳となっています。

これは人の一生の中で最も、災厄がめぐりやすい年齢とされ、その星の運勢と重なるとよくないとし、それが還暦だったり、女性の33歳や男性の42歳だったりするわけです。それぞれ、身体的変化や変調が起きやすい年齢でもあり、思い当たる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

非科学的ではありますが、その年齢の星回りと合うのです。女性の生理が誰も測ったわけではないのに、月の満ち欠けの周期と同じ二十八日であるように、人間は星々の運行によってさまざまに左右されています。

日本では室町時代の頃から本格的に言われるようになりましたが、空海が持ち帰った宿曜経にはそれが全部書かれています。星で運勢が決まる、という捉え方は古代から現代にまで続いていて、これは世界じゅうで共通していること。合理性はないかもしれませんが、星は嘘をつきません。だから、星を供養し祈るのです。

 

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