お地蔵さんって何?

お地蔵さんって何?

お地蔵さんの写真

子どもの頃の夏はプールや海辺のスイカ割りや楽しいことがいっぱい。その中で浴衣を着て遊んだ8月の地蔵盆は多くの人にとってひときわ懐かしい思い出でしょう。その中心にいらっしゃるのがお地蔵さん。そもそも、お地蔵さんとは何なのでしょうか。

赤い前掛けや帽子にこもる子どもへの祈り

お地蔵さんはいつ頃からか町かどや路地奥にあって、いつも見守ってくれているような身近なありがたい存在。優しく温かなまなざしを感じて、自然に手を合わせたくなります。特化した宗教ではなく、知らず知らずのうちに日本人に刷り込まれ浸透した素朴な民間信仰のようなものでしょうか。

言えるのは、子どもと縁が深いということ。赤い前掛けや帽子をかけるのも子どもとの一体感を表して子どもを守る象徴でもあります。この世に生を受けられなかった子ども、あるいは幼くして死んでしまった子ども、そういう我が子への母親の愛情と祈り、供養の思いもこもって投影されているのだと思います。子安地蔵や水子地蔵など子どもに関連したお地蔵さんが多いのも、子どもへの祈りや供養をお地蔵さんに託したものです。

地域の宝である子どものための除災招福

町や村の辻や街道の入り口にお地蔵さんをよく見かけます。「火難除」「無病息災」「治病」「長命」などご利益はさまざまに広がっていて、たとえば北向き地蔵は魔除け的な存在でもある。邪気をさえぎって町や人を守護して厄をはらう。いわば「除災招福」の存在になっていますが、その除災招福の対象もやはり地域の子どもなのです。

お地蔵さんは本来、地域の子どもたちの安全や地域そのものの守り神的な存在。地域を活性化させるのは未来を担う子どもたちですから、地域の宝である子どもたちをけがや病気、災厄から守ることを祈ったのだと思います。

優しい顔と厳しい顔が親心を象徴する

神仏習合(しんぶつしゅうごう)思想の本地垂迹説(ほんじすいじゃくせつ)では、閻魔さんの本体・本性は地蔵菩薩。お地蔵さん=地蔵菩薩の化身が閻魔さまということになっています。地蔵菩薩の化身である閻魔さまはお地蔵さんの心を持っているわけです。つまり、お地蔵さんは子どもを守る存在ですが、子どもに対して天が見ているという閻魔さまの役割も果たす。だから、悪いことをしてはいけませんよ、悪いことをすればあなたを叱りつけますよと、お地蔵さんが閻魔さまになって怒りの役目をするわけです。よく、子どもに「お天道様が見ている」と説教をしたりしますが、お地蔵さんの姿で子どもを叱る。でも、本質的には子どもを守る存在であることに変わりはありません。

お地蔵さんのお顔は声聞形と言い、すべての悩み・苦しみを聞く優しい表情ですが、その対極になる憤怒形の閻魔さまでもある、というのが大事な点です。優しい顔と厳しい顔がないと子どもは育たない。ふだんは海より深い母の愛、しかし、どうしようもない子がいれば、閻魔の形相で叱る。それが母親の気持ち、子育てをする親心、親のしつけではないかと思います。お地蔵さんはそれを象徴しているのです。

守ってくれるお地蔵さんを守り続ける

今、都会だけではなくさまざまな地域が開発などで急速に変貌しています。それに伴い、居場所がなくなるお地蔵さんも少なくありません。しかし、そうしたお地蔵さんの多くは近隣のお寺に納められ救済されています。寺に祀られているまちのお地蔵さんは数多くいらっしゃる。地域のお地蔵さんとして、昔から何万、何十万人という人がそのお地蔵さんを前にして祈ったのですから、決して壊してはいけない。そのお地蔵さんのおかげで、地域が守られてきたと感謝を捧げる信仰者が山ほどいるのですから、その思いを受け止めしっかりお祀りできるのはお寺しかないでしょう。

一方で、地域の誰かがが何代にもわたって引き継ぎ、お地蔵さんのお世話をし守り続けている所も日本じゅうにあります。子どもを守る優しい姿が人の縁をつなぎ、地域の人たちの一つのよりどころになっています。

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