高齢化が進む日本。お年寄りだけではなく、働き盛りの中年や若い世代にとっても「介護」の問題はひとごとではありません。「デイサービス」への関心がますます高まっているのも当然でしょうか。
「デイサービス」は日常生活が困難になった高齢者と家族が介護の頼りにできる「通所介護サービス」です。では、どのように選べばいいのでしょうか。
本人と家族の要望を伝えることから
「デイサービス」は、要支援または要介護の認定を受けた方が対象です。認定を受けると、ケアマネージャー(介護支援専門員)がご本人と家族に直接会い、事情や要望を聞き取ります。
その要望は「お風呂と食事はお願いしたい」「朝から勤めに出て帰宅は夕方になるので、1日、面倒をみてほしい」「健康のために足腰は鍛えておきたい」「リハビリテーションを受けたい」などさまざま。ケアマネージャーと相談をしながら、入浴介助中心なのか、機能訓練やリハビリテーションに重点を置いたものなのか、認知症対応型なのか、介護負担の軽減を望んでいるのか、レクリエーション中心なのか、介護サービスの具体的な方向性を定めます。
食事や他のサービス、利用する日数や時間のことを含め、ご本人と家族が何を希望するのかを話し合っておくことも大事でしょう。ケアマネージャーはそうした要望をもとにケアプランの原案を作り、地域のサービス担当者会議と家族の同意を経て、正式なケアプランを作成します。
実際に見学や体験をし、納得して選ぶ
「デイサービス」は各地域にいくつもあり、ケアマネージャーはプランに合う適切な施設を数カ所紹介します。家族は各施設に見学に行き、ご本人も体験をして検討してもらう。こうした見学や体験は大事なプロセスで、行ってみて初めてわかることがいろいろあります。
たとえば、送迎バスに乗る時間や、1日滞在することに疲れを感じるかもしれません。逆に、これなら大丈夫と安心を得られることもあります。また、施設の雰囲気や外観、スタッフの対応や実際のサービス内容、利用している方々の印象も判断を左右するでしょう。
ご本人の心身の状態をふまえて、本当に望む介護サービスを受けられるかどうか、そこに楽しく通えるかどうかが肝心な点。最終的にはご本人と家族の納得が第一なのです。
美味しい食事やリハビリ特化などサービスは多様
今、さまざまにサービス面を充実させた多様な「デイサービス」があります。「デイサービス」は入浴や体操、食事、レクリエーションなど一定の時間割があり、どこでも同じように思われがちですが、利用者のニーズや満足度を考えて特色のあるサービスを提供している所も少なくありません。ケアプラン作成や介護サービス全般について相談できる窓口がある所もあります。
器具を充実させてリハビリや機能訓練に特化していたり、入浴や遊びに独自の工夫が図られていたり、また、施設内に厨房を設けてシェフが腕をふるい、バランスのとれたレストラン並の豪華メニューやスイーツを提供する所もあります。
日常の暮らしが困難になっているからこそ、以前ならお店に食べに行ったような美味しい食事が出されるのはうれしいもの。食事にかかわる費用は介護保険の給付対象ではありませんが、手頃な料金で旬の食材を使った味と質にこだわったお料理が食べられるのは、「デイサービス」に通う大きな楽しみになるはずです。
「デイサービス」は要支援・要介護の高齢者の自立支援をする場であり、家族にとっては介護の手助けをしてくれる心強い施設ですが、ご本人にとって、プラスアルファの快適さや満足を得られることも「選ぶ」大事な要素と言えるでしょう。