人とつながる、わかりあう、助けあう

人とつながる、わかりあう、助けあう

散歩する老夫婦の写真

高齢化の中で増える一人世帯

今、日本は世界有数の長寿国となり、これまで経験したことがない超高齢化の時代を迎えています。男女ともに平均寿命は80歳を超えていて、昨年夏の厚生労働省発表によると、平均寿命は男性が80.98歳、女性は87.14歳となっています。

健康で生活が安定していて家族や友人に恵まれているならいいのですが、病気や介護、低所得などさまざまな問題を抱えながら、家族に迷惑がかけたくないと一人暮らしを選択する高齢者も少なくありません。一人世帯は高齢者だけではなく、中年にも増え続けています。

隣近所との関わりが薄れた現代

一方で、昔のように寺社や商店街や学校などの季節の催事に町ぐるみで参加し、地域の中でみんなで暮らしていた、そんな意識やつながりが薄れ、近所の人の温かさを感じることがないまま、人との距離ができてしまっているのが現代でしょう。

しかし、仏さまは「人は決して一人で生きているのではなく、多くの人に守られ支えられています。自身が生きていることも誰かにとって必要なのです。」と教えられています。誰もが誰かに助けられているものだからです。

プライドを捨て人の輪の中に入る

お年寄りはややもすれば引きこもりがちになり、歩く元気があっても外にあまり出たくないという方や、何かの行事に誘われても、ちんぷんかんぷんで馬鹿にされるから行かない、という方もいます。それでも、ある種のプライドや頑ななこだわりを捨てて、人の輪の中に入れば、ほっと心がゆるむ安心感を得られますし、さびしい気持ちや困ったことは自分だけではないと気づいて悩みを共有できたり、人にちょっと聞いてもらったりするだけで前向きな心持ちになるものです。

民生委員など人に頼りわかってもらう

町ごとに地域に密着したボランティアの民生委員がいます。一人暮らしの高齢者には折々に声をかけて見守ってくれる力強い味方です。もし、行政の人に自分の苦しみをわかってほしいことがあるなら、そうした身の上の悩みを民生委員に伝え、わかってもらう。そうすれば、受け止めた民生委員が行政の相応の窓口に連絡をしてつないでくれます。そういう身近な存在に頼ってみると救われる気持ちになるでしょう。

人に寄り添う優しさが自分も救う

助けてもらうばかりではなく、困っている人がいれば手を貸す、手を添える、「大丈夫ですか」と声をかけてみる。人に寄り添う小さな親切が「ありがとう」の言葉や笑顔になって返ってきて、喜びとなって逆に元気をもらえます。人への優しさが心身を活性化してくれるはずです。人は人によって支えられています。

「孤立」が社会問題になっている昨今、特に高齢者は悩みを抱えながらも人にはわかってもらえない、人のお世話になりたくない、あるいは人とどう接すればいいかわからないと、周囲との接触を遮断しがちです。ですが、自身を追い詰め自分は一人だとあきらめるのではなく、交流を持とうとすること。昔は当たり前にあった近隣の人とのつきあいや助け合いは、今でも心を開く気の持ちようで可能ではないでしょうか。

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